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結論から。 自家製でみりんをつくるのは違法です。塩入れたらセーフと言う人がいるけどどっちも違法です。 「そもそもみりんって自家製でつくれるの?」と思われるかもしれませんが、意外とつくれます。 用意するのは米麹ともち米と焼酎。 これを混ぜて1年以上熟成させるだけでできちゃいます。思ってたより簡単ですよね。 ただ、みりん(本みりん)はアルコールが含まれた飲料というカテゴリにあるので酒税法で規制されています。 みりんをつくるためには税務署で定められた免許が必要で、酒造会社しか取得することができません。 梅酒をつくる感覚でやったらダメなんですね。 (※ちなみに梅酒もほんとは違法なんですけど、税務署が例外的にOKにしてるだけです) 塩をいれようがいれまいが、違法なのは変わりません。 みりんの免許を持っている酒造会社は塩を規定量いれることで税金がかからなくなる、という制度がありますが(※不可飲処置といいます) これは免許を持つところだけ認められた例外で、何リットルの酒に対して何キロの塩をいれるのかなど、税務署への申告が必要になります。 なにはともあれ、自家製でみりんをつくること自体が酒税法違法になので、"みりんをつくるのは違法"と覚えておいてください。 でも、どうしてもみりんがつくりたい、という人がいるかもしれません。 そういう方は、わざわざ危ない橋を渡るのではなくて、酒税法的にも安全なものをつくりましょう。 酒税法は液体に対してかかる法律です。(※厳密には粉体もある) なので、固形物は対象になりません。 みりんのように透明にすることは出来ませんが、みりんの醪をつくる時に、濃いめにつくってブレンダーやミキサーにかけてしまいましょう。 濃厚なペースト状であれば、それは飲料ではなくなります。 麹が働いてどんどんゆるくなって液体に近づいていきますので、その都度麹を足して固くする必要はありますし、 固形分を増やす分だけより高いアルコール度数の焼酎やホワイトリカーを使う必要は出てきますが、 本みりん風のペーストがつくれますよ。 ただ、みりん同様、1年以上熟成させないと美味しくありませんし、 アルコール度数とのバランスの関係でレシピが難しいので、あんまりオススメはできません。   なのでオススメなのは濃縮甘酒をつくる時に、水の代わりに焼酎をつかう、という方法です。 こちらもかなり濃いめにしてブレンダーにかけて、飲めない濃度や固さにする必要がありますが、即席でみりん風のものをつくることができます。 本みりんの熟成感を出したい、というのであれば、甘酒が出来上がった後に、今度は70度くらいで保温を続ければ、みりんような香ばしい香りになりますよ。 ただしこちらも常温で熟成させたい場合は、アルコールや塩などで雑菌を抑える工夫が必要です。 じゃないとカビが生えてしまいますからね。 いっそ、お味噌のように目張りしたらいいかもしれません。 というわけで、自家製でみりんをつくるのは違法だよ、というのと、どうしてもつくりたいなら固形(ペースト)にしましょう、というお話でした。 おしまい。

まずはじめに結論として、納豆菌は麹づくりに持ち込まない方が良いです。 イコールで、酒蔵や麹屋、味噌屋さんを訪問する際に納豆を食べない方がよいです。 なんなら細かいこと言うと、土とか砂、枯れ草、もみ殻みたいなとこにも納豆菌の仲間(枯草菌)は居るので、それらも持ち込まない方が良いでしょう。 これは原理とか機序以前に、訪問させてもらうマナーとして、という話でもあります。 ただでさえ、人間というのは雑菌の塊です。 不特定多数が発酵や醸造の現場に訪れるとそれだけでも影響をうける可能性はあります。 なので、訪問させてもらうという立場であれば食べないようにして然るべきだと僕は思います。 まぁそれはそうなんですが、ここからは原理や理由を掘り下げていきましょう。 実際、納豆菌が麹に混入するとどうなるのか、どんなトラブルな起きるのか、麹造りに納豆菌がはいったらどう対処したらいいのか、など解説していきます。 納豆菌が麹造りの現場に放り込まれるとどうなるか、というと、実は基本的にはどうにもなりません。 前述の通り、納豆菌って別に納豆にだけいるわけじゃなくて、土壌やら枯れ草やらにその仲間がいます。 納豆はバチルス属というカテゴリに属していますが、バチルスは枯れ草と書いて枯草菌(こそうきん)とも呼ばれる菌です。 納豆って、別に菌を植菌しなくても、茹で大豆を稲わらに包んでたらそれっぽいものができます。 それくらい、普通に自然界に存在する菌です。 納豆そのものを麹室に投げ込むならともかく、菌が多少入っただけでは淘汰されて繁殖はしないでしょう。 ただ、納豆を食べた時に納豆に触れていたのに手指洗浄が不十分だった、とか顔の周りについていて、服や髪の毛についていた、などは考えられる訳です。 それらが積み重なって枯草菌が蓄積したら、ある日優位になって繁殖をはじめてしまった、ということが起こる可能性はゼロではないでしょう。 だからマナーとして食べないというのは必須です。 もし麹造り中の麹に枯草菌が入ってしまうと、すべり麹とか粘り麹と呼ばれる、ネバネバした麹ができると言われます。 これは僕も実際にみたことがあるわけではないですが、香りも納豆のような香りになるそうです。 枯草菌がよほど混入した場合はそうやって汚染を受けてしまいます。 ただ、米麹の麹造りというのは実は非常によくできていて、実に素晴らしいシステムで成り立っていると僕は思っているのですが、 基本的には、枯草菌による汚染を受けにくい仕組みになっています。 というのも、普通に麹づくりを行うと自然に納豆菌が増えにくい水分活性の数値に安定するようにできています。 麹菌は弱い菌ですが、比較的少ない水分量でも増殖します。とはいえ、少なすぎると繁殖できません。 枯草菌は増えないけど、麹菌は繁殖できる。その絶妙な水分量のレンジに自然におさまるのです。 だから、実はそこまでめちゃめちゃ汚染を受けやすいということはないんですよね。 じゃあなぜそんなに注意して、業界全体で恐れているのかというと、万が一枯草菌に汚染された時のリスクが大きすぎるから、というのがあります。 納豆菌をはじめ、枯草菌は耐熱性菌とも呼ばれます。 耐熱性ってどれくらいの温度に耐えるのかと言うと、納豆菌は特に最強で、 121℃ にならないと死にません。 いや、正確には121℃で20分以上加熱し続ける、です。 なんとアルコールもききません。なんならアルカリ性の薬品(ハイターとか)もききません。 焼くや揚げるでもしないかぎり死なないと思ってもらって差し支えないです。 そんなやつらが、もし麹室に繁殖してしまったら…… 対処法として現実的なのは徹底的な洗浄、ということになるでしょう。 枯草菌は洗い流すことができますので、繰り返し繰り返し洗い流すことで減らす、取り除く、ということをします。 もちろん完全に取り除くことはできませんが、そうやって地道に減らしていくしかないかなと思います。 (あとは間欠滅菌するとか…) もし丸洗いの難しい麹室なら、下手したら新しく立て直す方が早いかも、しれません。 という風に、もし万が一繁殖してしまった場合のリスクが大きすぎるんです。 だから、その万が一を起こさないために「厳禁」としたほうが良いのです。 繰り返しになりますが、ただでさえ人間は雑菌の塊ですからね。 リスクは少しでも減らした方が良いでしょう。 僕も麹が居る期間は納豆は食べません。 ただ、どうしても食べたくなったときはお風呂に入る直前に、細心の注意を払って、そして食べ終わったら速やかにお風呂へ直行、という風にして食べます。 それくらいのことをすれば、麹室に汚染が及ぶという可能性は限りなく小さくなるかな、と思います。 まぁ、「そこまでせなあかんのやったら食べへんわ!」という指摘はごもっともです。 おしまい。

「甘酒は発酵食品か否か。」 これは麹マニアのごく一部で話題になったテーマです。 「いやいや、何いってんの。甘酒は思いっきり発酵食品でしょ!」 ほとんどの方はそう思われるでしょうし、僕もそこに異議はありません。 そうです。甘酒は発酵食品なのです。少なくとも僕はそう思っています。 しかし、なぜ麹マニアの中で物議を醸すことになったのでしょうか。 それは麹甘酒が甘くなる仕組みとその解釈に秘密があります。 まずはじめに、甘酒が甘くなる仕組みに触れていきましょう。 甘酒には麹の甘酒と、酒粕の甘酒があります。 どちらも甘みがありますが、麹の甘酒は基本的には砂糖は加えず、酒粕の甘酒は必ず砂糖を加えます。 麹の甘酒は麹のチカラが働き、米のでんぷん質を分解して甘みをつくってくれるので、砂糖がいらないのです。 この「でんぷん質を分解する麹のチカラ」こそが麹のつくった「酵素」です。 麹が生物である菌であることに対して、酵素はただのタンパク質で、生きていません。 なので、「酵素のチカラが"生"きている」は全く正しくありません。 正しくは「酵素のチカラが"活"きている」です。 簡単に言い換えると酵素は「反応するけど生きてない」ということになります。 麹菌が酵素をつくるのは、自分の栄養が欲しいからです。 麹菌はお米のでんぷん質そのものはエネルギーに使えないので、それを糖分に分解したいのですが、 残念ながら人間と違って消化器官がありません。 そこで、菌糸の先っぽから酵素をつくり出して米を溶かします。 そうすることで糖分をつくって、エネルギーにして成長していきます。 その時にたくさんの酵素をつくるので、それをありがたく、人間は利用しています。 甘酒は60度でひと晩〜24時間かけてつくりますが、 そんな高い温度では麹菌はあっという間に死んでしまいます。 だから、甘酒の中で麹菌は働いていません。 しかし、麹菌がつくった酵素は60度でも耐えて働くことができます。 だから、甘酒は麹だけでもあんなに甘くなります。 ここまでの話をまとめると、 ◯麹菌は栄養欲しさに酵素をつくる ◯麹の甘酒は酵素が働いて甘くなる ◯そのとき麹菌はすぐ死ぬ ◯酵素はただのタンパク質 ということです。 ここで勘の良い方は、 「菌が死んでいて動いてないのに発酵食品と言っていいの?」 「酵素が溶かしただけで発酵食品でいいの?」 という疑問に気づくと思います。 麹マニアで物議を醸したのはつまりそういうことです。 発酵食品とひとくくりに呼んでいますが、その定義には様々な捉え方があります。 なので、「菌が働かない発酵は発酵じゃない!」も捉え方の一つだと思います。 それでも僕は、甘酒は発酵食品だと思っています。 僕は「そこに菌がいなくても、菌がつくった成分や酵素を活かしたものは発酵食品」だと、そういう解釈をしているから。 麹の甘酒は、麹の酵素が分解を起こすだけでなく、麹をつくる過程で生まれた微小で様々な有用成分を含むドリンクです。 そこに菌が生きているかどうかは、やっぱり関係ないと思うのです。 がしかし、「発酵食品であるキムチをつかったキムチ鍋は発酵食品と言えるのか?」 と聞かれると、ものすっごい微妙やなと思います。 キムチしか入ってない鍋なら…?いや、肉がキムチでお肉揉み込んでたら…? ううむと疑問はやみません。 そんなもんです。 だから、甘酒が発酵食品と言えるかどうかの定義問題に正解はありません。 僕は発酵食品だと思っていますが、発酵食品だと思わない人も、やっぱりそれは正解なのです。 おしまい。

僕なりに意識していることが「よりきれいな麹をつくりたい」ということです。 麹は実はけっこう雑菌汚染をうけます。 きれいに麹ができていても、検査に出すと一般生菌(雑菌)の数値がやたら高かったりとかあるあるです。 麹における雑菌は乳酸菌とか酵母菌とか色々ですけど、稀に食中毒の原因菌である黄色ブドウ球菌とか出たりとかもなくは無いです。 素手でつくるところが多いので、気づかないうちに手に傷とかつくってるとそういうことが起こります。 食中毒菌が検出されるのはまぁ論外としても、乳酸菌など他の菌が紛れ込んでいることで何がおこるのでしょうか。 わかりやすい事象としては、 味噌や甘酒が酸っぱくなる、雑味やエグみが出ててくる、腐敗など失敗が起こりやすい… などがあります。 麹がきれいであればあるほど、甘酒もきれいでスッキリ、クリアに仕上がります。 とはいえ、雑菌=悪という訳ではありません。 それが「複雑味」「コク」といったそこならではの特徴、つまり「味」に変わることだってあります。 これは聞いた話ではありますが、八丁味噌の豆麹を、限りなく麹菌だけで雑菌を抑えてつくるテストをしたとき、いまいちコクが出ず、味が乗ってこないということがあったそうです。 豆麹は枯草菌と共存することが多いですが、それこそが八丁味噌が八丁味噌たる特徴だった、ということがわかるお話です。 なので、雑菌=悪ではない。 それでも僕がきれいな米麹を目指すのは、 僕自身がクリアな甘酒が好きだから。 だからこそ、麹の方もきれいにと意識してつくります。 その他にも、そのまま食べれる米麹を標榜しているだけに、食中毒リスクは限りなく下げねばならないと自分でも思っているからという側面もあります。 では、具体的にどうやれば雑菌汚染を減らせるのでしょうか。 雑菌汚染のリスクを下げる方法には大きく分けると2つのパターンしかありません。 一つは混入させないこと。 もう一つが増やさせないこと。 混入させない、ということは分かりやすく簡単ですね。 例えば 素手で触らず手袋をはめる。 木の道具をプラスチックやステンレスなどに置き換える。 製麹につかう布を衛生的に保つ。 床に直接置かない、15cmは浮かす。 器具や部屋の清掃、清潔、殺菌。 などなどなど… やれることは山のようにあります。 次に増やさせないことですが、これは麹造りにおいては非常に難しいです。 含水率、湿度、温度を衛生的な領域に保つことでこれを達成するのですが、 麹造りでは麹菌を繁殖させる必要があります。 麹菌にとって繁殖しやすい環境は、他の雑菌にとっても増えやすいためです。 強いて言えば、麹菌にとって好ましい含水率は納豆菌などの好きな含水率より少し低いです。 なので、含水率が高くなりすぎないようコントロールすることである程度、雑菌を抑えることは可能です。 他で言えば、 (結局雑菌を持ち込まないところにも通じるのですが) 麹菌の種切りから24時間を衛生的に保つことで他の雑菌の繁殖を抑制することができます。 というのは、麹菌は増殖というか、菌糸の伸びが始まるまで約24時間かかります。 この菌糸の伸びが始まるまでは麹菌はとても弱い状態のため、他の菌が容易に繁殖できてしまいます。 しかし、24時間以降は麹菌自身が発酵熱を出し、増殖が旺盛になります。 ここまでたどり着くと、麹菌の力が強いから、他の菌が簡単には増殖できなくなります。 そのため、種切りから24時間は特に衛生を意識する。ということが大事になります。 こういった工夫を一つ一つ積み上げることで、よりきれいな麹に近づいて行くことができます。

おはこんばんちわ。(死語) おかしなこうじやの本間です。 さて、僕の中でだけ終止符が打たれていて、そのまま誰にも話さないまま流れてしまっていた話題をひっそりと供養しようと思います。 そう。塩麹の麹菌って生きてるの?死んでるの?問題です。 結論から申し上げます。 「ほぼ、死んでいる」 です。 まず、「塩麹は麹菌が生きているから1日に一回混ぜないといけないよ〜」 というお話がありますね。 あれは嘘だ。(映画コマンドーより) 麹菌というのは弱い、もろい菌です。 僕が麹菌の師匠だと勝手に崇め讃えている種麹屋さんの研究員の先生もおっしゃっていました。 「麹菌は"もやしっこ"」だと。(もやしだけに) 増殖も遅く、他の雑菌に負けがちで過保護なくらい面倒をみないと思った通りに育ちません。 そんな麹菌ですから、たいていのことですぐ死にます。 吸血鬼ぐらいすぐ死にます。(※分かりにくい小ネタ) 塩麹で言えば、塩水に浸かった時点で、菌糸が破裂して死にます。 正確に言えば、菌糸の部分はだいたい死に、一部はわずかに生存します。 実はほぼ死ぬと思われていたのですが、耐塩性ではない菌にも浸透圧に耐える機構が存在することが近年分かったそうで、わずかに生き残っている可能性は高いだろうというところまで分かってきたそうです。 しかし、その生き残った菌が増殖できるか?というと非常に難しいです。 増殖するとすれば液面に膜を張るように菌糸を伸ばすと思うのですが、僕はその光景はみたことがありません。 液中で増えたように見えたことが種麹屋さんであったそうですが、 空気中から落下し混入した麹菌である可能性もあり、はっきりと目に見えて分かるほどの増殖や活動は厳しいのではないか。と考えられています。 つまり、「ほぼ、死んでいる」という最初の結論に至ります。 生き残ったものも、「活動はかなり難しい」と考えられるので、 塩麹の中で麹菌の働きを期待することはできないと言っていいでしょう。 塩麹をつくると、直後からぷくぷくと気泡が出てきますね。 あれは、菌の働きというよりかは麹の中に閉じ込められていた空気が徐々に吐き出されてぷくぷくなっているのだと考えられています。 「麹菌死んでたら意味ないじゃん!」 と思われた方、安心してください。 日本酒の醪の中でも麹菌はアルコールですぐ死ぬし、甘酒つくる時も60℃になったら死んでます。 でもちゃんと日本酒になるし、甘酒になります。 麹が活かされるのには、麹菌が生きてるかどうかは全く関係ないんです。 それは麹菌がつくった成分や、酵素が失わずに残るから。 麹と酵素の関係性を話し出すと長くなるので割愛しますが、 ともかくも、麹菌が死んだあとも、美味しくなるし、甘くなるし、溶けるし、肉も柔らかくなります。 そう。塩麹で麹菌が生きてるかどうかなんて、実は関係ないのです。 なので、安心して使ってください。 でも、いなくなった麹菌のこと…時々でいいから思い出してください(FFⅩ風) さぁ、まぁ小難しい話過ぎるから余計に反動で全体的にふざけ過ぎましたが、 麹菌たちは儚く犠牲になりながらも、今日も醤油や味噌、酒、みりんなど様々な姿に変わりながら、私達の食卓を豊かにしてくれています。 大事に味わってやってください。麹屋からのちょっとしたなお願いです。 では、また。

「ブログ読んでます」と先日始めて言われてヒョェッとなりましたおかしなこうじや本間です。 さて、おかしなこうじやではお米を預かり、麹にしてお返しして、加工料金を頂戴する、という受託加工を行っております。 農家さんで自分のお米を麹にして販売したいという方や、自分でお味噌をたくさんつくりたい、友達とみんなでシェアするからまとめてつくってほしい、など、開業以来、各方面からたくさんご依頼頂いてきました。 今年もすでにたくさん加工のご依頼を頂いており、新規のご依頼は2月中旬以降の出来上がりとなっています。(1/22時点) さて、そんな麹の加工ですが、この度、電気・ガス料金の値上げなどの影響をうけ、価格変更をさせて頂くことにしました。 詳しくは以下のとおりです。 【〜2023年分】 白米持ち込み時重量 4〜10kg → 10,000円(税込) 11〜29kg → 1kgあたり1000円(税込) 30kg〜  → 1kgあたり800円(税込) 【2024年〜分】 麹出来上がり時重量 4〜29kg → 1kgあたり1000円(税込) 30kg〜  → 1kgあたり800円(税込) 以上のとおりです。 (※分量・価格に記載ミスがあったので1/23 11:00時点で修正しております。ご容赦ください。もし修正前の数字見ちゃった人はご相談ください。なんとかします。) 要するに、持ち込みの時の重さなのか、出来上がりの時の重さなのか、ということです。 麹は出来上がり時に約110%ほどになりますので、その分は実質的に値上げとなります。 ただ、増え方にはかなりバラツキがあり、115%の時もあれば106%みたいな時もあります。 このあたりがかなり難しくて、毎回なるべく量が変動しないようにとか、実はかなり気にしながらつくっていました。 その辺りの僕のストレス軽減のためにもこの形でお世話になれたらなと思っております… なお、販売用など、小分けでの袋詰めをご希望の方は追加で1袋あたり80円(税込)で承っております。  200g〜3kgまでの小分けに対応しており、真空パックで袋詰めをさせて頂いております。 (なお、2024年から真空の圧力を弱くしております。ラベルが剥がれるという声に対応した形です) 以上、何卒よろしくお願いします。

うちの麹菌は菌株としては主にひかみ7号と名前がついている、丹波に縁のある (というか、丹波で大昔に採取され育まれてきたとされる) 麹菌を使っているのですが、 これは大阪の種麹メーカー、樋口松之助商店さん、通称ヒグチモヤシさんから購入させてもらって使っています。 「天然の麹菌じゃないんですね…」 と言われることもあったりなかったりなんですが、 個人的には「そもそも天然麹菌ってなんやねん」と思っています。 菌には自然環境にうじゃうじゃと多種多様な菌が混ざった状態にいる野生の菌と、管理された単一の菌だけ培養した管理環境の菌とがいます。 さて、ここに違いはあるでしょうか。 これ、一般的な感覚では "天然モノのブリと養殖のブリはやっぱり違うよな〜" 的な印象から、天然(野生)と養殖(培養)は違うよね!と思うかも、しれません。 でも、菌って、すごいシンプルな構造で増殖します。 ブリは育つまでに餌や育つ環境、運動させる量とかでやっぱり変わると思います。 でも、卵から孵ったばかりのブリの赤ちゃんって、養殖と天然モノと違いあるんでしょうか? そんなに違いなさそうですよね。 菌はどっちかというと、もっと違いが無い状態なので、野生にいようが管理環境にいようが、 「株ごとの性質の違い」こそあっても 「育った環境の違い」 みたいなものは存在しないです。 なので、「天然の麹菌ってなんやねん」 と、僕としては思っています。 これは「天然酵母」という表現が一般化してしまった弊害だと僕は認識しているんですが、 (僕としては酵母も「天然酵母ってなんやねん」と思っています。) そういったことから、天然の麹菌なんていない、という認識を僕はしています。 むしろ、野生環境の麹菌にはリスクの方が大きいです。 そもそも、麹菌は「カビ」です。 パンの表面に黒カビできてたら食べます?ふつう。 食べませんよね。 緑色でふわふわしてるやつできてたら食べます? 普通の感覚では、食べませんよね。 「天然の麹菌」というのはそういうことです。 麹はカビの仲間で、お腹を壊すカビと、有用な麹カビ、見た目で見分けなんてつきません。 だから、僕は、僕ら麹屋は、キチンと安全な、お腹を壊さない、有用で、しっかりと力のある、種麹屋さんが心血を注いで現代まで育んできた、麹菌を使います。 っていっても、その麹菌も全国では2000種類くらい株が管理されてる、なんて話もあります。 その中で「うちの麹」となる菌株を選んで、自分たちの色として、麹をつくります。 まぁ話がそれましたが、そんなこんなで「天然麹菌なんていない」と僕は考えています。

「塩麹でおにぎりつくったらめっちゃ美味しいんじゃ?」塩麹を使う人がだれもが一度考えたことじゃないでしょうか(そんなことはない)しかし残念ながら、塩麹でおにぎりをつくることはとても難しいです。試しにつくってもらうのが一番分かりやすいのですが、見事なまでに「固まりません」握り固めようとしても、パラパラと、ぼろぼろと、崩れてしまって形になりません。はじめは固まったと思ったのに、気づいたらバラバラになってしまってる。なんてことになります。これは麹がお米のでんぷん質を分解してしまっているから、なのです。そもそも、なぜおにぎりが固まるのかというと、米と米同士の表面がねちゃっと粘っていてくっつくからです。この粘りの正体がでんぷん質です。このでんぷん質に麹が働きかけるので、溶けてサラサラになってしまうんですね。なので、塩麹でおにぎりをつくることはできません。サラサラな混ぜご飯になってしまいますね。これを解決することは一応可能です。麹の働きは高温に熱することで止まりますので、例えば、ご飯を炊く前に炊飯器に一緒に塩麹をいれて炊き上げる、とか、焼きおにぎりにして、焼きながら表面に塗っていく、とか、使う前に塩麹を一旦加熱する、とか。そうやって単純に使うのではなく、熱を加えてからつかう、という風にすればなんとかおにぎりにすることは可能です。他に塩麹の思わぬ副作用としては、「ポテサラに混ぜるとサラサラに溶ける」というのもあります。なので、ポテサラに使いたいときもまず先に加熱する、という風に使うのがいいですね。

2023年7月のイベント出店スケジュールをお知らせします。■7/9 【タマキニイメさん腹ごしらえ会】毎度おなじみ、ヤマネベーカリー さんとの共同出店です。前回に引き続き、スープも担当しますので、今回はトマトをつかった発酵スープにしようかなぁと考えています。丹波わっしょい農園さんの、もうそれだけで美味しいトマトが手に入ったので、あんまり手を加えるのもどうかと思うんですが、トマトと麹だけで水も加えずに一旦甘酒に仕上げて、それをスープにしていきたいと考えています。ミネストローネみたいにしたほうが良い気はするので、具だくさんいれるかどうするか、ちょっと悩ましいところです。最終的には当日のお楽しみということで…いつもの冷やし甘酒も準備予定です。甘酒ピーチメルバ(ミニ)を出すやら出さないやら噂してましたが果たして……どっちにしても甘酒シャーベット出せるように準備だけしとこうかな。■7/15,16【足立醸造さん蔵開きイベント】足立醸造さんの夏の蔵開きイベントに今回も出させていただきます。出店するお店が本当に僕の好きなお店ばかりで、出店しにいってるのか楽しみに行っているのか、どっちなのか分からない楽しいイベントです。冷やし甘酒に加えて、麹スカッシュを出そうかなと考えています。余力があれば黒麹スカッシュもやりたいですが……余力……あるかな…………(遠い目)足立醸造の醤油が10%オフで買える貴重な機会でもあるのでこちらもぜひ。度々言うてますが、国産有機の濃口が本当に好きで個人的にも愛用しています。なお、15日は昼過ぎに僕は先に撤収させて頂きます。16日は15時までいる予定です。■7/15 【オオヤマルシェ】丹波篠山市の丹波大山駅で開かれる学生団体が中心になっているマルシェ、オオヤマルシェに2年連続で出させて頂きます。うっかり、僕がスケジュールミスして足立醸造と被らせてしまったので早抜けしてこちらにも参加させて頂きます。こちらは15時からです。冷やし甘酒と、やはり余力があれば麹スカッシュを出したいと思います。オラに元気をください。■7/23 【サジイチ】佐治の商店街のマルシェです。穏やかな気持ちになれるマルシェで、だいたい出店させてもらってます。丹波各地のパンが買えるのも楽しいところ。ここは飲食免許があるので色々冒険できるイベントなのですが、最近僕がサボり気味であんまり色々やってませんが、冷やし甘酒、麹スカッシュ、黒麹スカッシュは確実に用意したいなと思います。よ、余力が…あれば…なにか…変わり種を……シャーベット出そうか……??ご期待せずにお待ち下さい。■7/28 1000MARKET先月から参加させて頂いてます、清水寺の境内で行われているマルシェです。なんだか厳かなすごい場所で恐縮ですが、参加させて頂いてます。森の精油所 アルヴェアーレさんのご厚意で、一緒に出させてもらっています。ヒノキやクロモジといった植物の精油やアロマウォーターを販売されています。柑橘の精油も扱っておられて、その果汁をうちでも買わせてもらっていて、その甘酒を今回は出そうかなとか考えています。外国人観光客の方も多いので、英語のPOPつくらないと…(防備録)さて、長々となってしまいましたが、どうぞ宜しくお願い致します!