Back to Top

糀の甘酒は発酵食品か否か。

「甘酒は発酵食品か否か。」

これは麹マニアのごく一部で話題になったテーマです。

「いやいや、何いってんの。甘酒は思いっきり発酵食品でしょ!」

ほとんどの方はそう思われるでしょうし、僕もそこに異議はありません。

そうです。甘酒は発酵食品なのです。少なくとも僕はそう思っています。

しかし、なぜ麹マニアの中で物議を醸すことになったのでしょうか。

それは麹甘酒が甘くなる仕組みとその解釈に秘密があります。

まずはじめに、甘酒が甘くなる仕組みに触れていきましょう。

甘酒には麹の甘酒と、酒粕の甘酒があります。

どちらも甘みがありますが、麹の甘酒は基本的には砂糖は加えず、酒粕の甘酒は必ず砂糖を加えます。

麹の甘酒は麹のチカラが働き、米のでんぷん質を分解して甘みをつくってくれるので、砂糖がいらないのです。

この「でんぷん質を分解する麹のチカラ」こそが麹のつくった「酵素」です。

麹が生物である菌であることに対して、酵素はただのタンパク質で、生きていません。

なので、「酵素のチカラが”生”きている」は全く正しくありません。

正しくは「酵素のチカラが”活”きている」です。

簡単に言い換えると酵素は「反応するけど生きてない」ということになります。

麹菌が酵素をつくるのは、自分の栄養が欲しいからです。

麹菌はお米のでんぷん質そのものはエネルギーに使えないので、それを糖分に分解したいのですが、

残念ながら人間と違って消化器官がありません。

そこで、菌糸の先っぽから酵素をつくり出して米を溶かします。

そうすることで糖分をつくって、エネルギーにして成長していきます。

その時にたくさんの酵素をつくるので、それをありがたく、人間は利用しています。

甘酒は60度でひと晩〜24時間かけてつくりますが、

そんな高い温度では麹菌はあっという間に死んでしまいます。

だから、甘酒の中で麹菌は働いていません。

しかし、麹菌がつくった酵素は60度でも耐えて働くことができます。

だから、甘酒は麹だけでもあんなに甘くなります。

ここまでの話をまとめると、

◯麹菌は栄養欲しさに酵素をつくる

◯麹の甘酒は酵素が働いて甘くなる

◯そのとき麹菌はすぐ死ぬ

◯酵素はただのタンパク質

ということです。

ここで勘の良い方は、

「菌が死んでいて動いてないのに発酵食品と言っていいの?」

「酵素が溶かしただけで発酵食品でいいの?」

という疑問に気づくと思います。

麹マニアで物議を醸したのはつまりそういうことです。

発酵食品とひとくくりに呼んでいますが、その定義には様々な捉え方があります。

なので、「菌が働かない発酵は発酵じゃない!」も捉え方の一つだと思います。

それでも僕は、甘酒は発酵食品だと思っています。

僕は「そこに菌がいなくても、菌がつくった成分や酵素を活かしたものは発酵食品」だと、そういう解釈をしているから。

麹の甘酒は、麹の酵素が分解を起こすだけでなく、麹をつくる過程で生まれた微小で様々な有用成分を含むドリンクです。

そこに菌が生きているかどうかは、やっぱり関係ないと思うのです。

がしかし、「発酵食品であるキムチをつかったキムチ鍋は発酵食品と言えるのか?」

と聞かれると、ものすっごい微妙やなと思います。

キムチしか入ってない鍋なら…?いや、肉がキムチでお肉揉み込んでたら…?

ううむと疑問はやみません。

そんなもんです。

だから、甘酒が発酵食品と言えるかどうかの定義問題に正解はありません。

僕は発酵食品だと思っていますが、発酵食品だと思わない人も、やっぱりそれは正解なのです。

おしまい。