麹屋が本気で考える甘酒のつくり方 ①導入編 酒粕甘酒と麹甘酒の違いについて
こんにちは!
出店の合間の閑散とした時間にポチポチしております。おかしなこうじやの本間です。
(そこ、憐れな眼でこっちをみるんじゃあないよ)
さて、今日は甘酒のつくり方です。
「美味しい甘酒ってどうやってつくるんですか?」というご相談を受けることがありますので、今日はその話を。
僕もイベント等で甘酒をドリンクとして提供・販売しているんですけれども、
家庭でつくる甘酒と、プロの甘酒と何が違うのか、どうしたらもっとプロに近づけるのか、そんなことを解説していければと思います。
甘酒の種類について① 酒粕の甘酒
これをご覧の方は甘酒ガチ勢、もしくは麹ガチ勢、発酵ガチ勢の皆様だと思いますので、ご存知のことと思いますが、甘酒は大きく分けて2種類の甘酒があります。
一つが酒粕の甘酒、もう一つが麹の甘酒です。
酒粕の甘酒は日本酒もろみの絞り粕である酒粕をお湯に溶いて、砂糖や生姜で味を整えたものです。
味わいは酒粕の品質に大きく左右されるのが特徴で、酒粕特有の香りとドロっとした口当たりがあります。
「お酒の匂いがする」といった印象をお持ちの方はこちらを飲まれたことがあるのかもしれません。
神社などで配る甘酒もこちらが多く、幼少期に飲んで苦手、という方はもしかしたら酒粕の甘酒かもしれません。
ちなみに、酒粕には悪玉コレステロールの低下などが期待できる、等の報告があるなど、健康食品として有用であるということ、きちんとこだわってつくればおいしくできる、ということは申し添えておきます。
甘酒の種類② 麹の甘酒
さて、それに対して、麹の甘酒は米麹を中心に使ってつくります。
米麹由来の香りと、100%お米由来の甘さが美味しい、「飲む点滴」とも称されるのがこちらの甘酒です。(なんで飲む点滴なのかはぶっちゃけよくわかりません)
基本のレシピでは米麹と炊いたご飯を両方つかうものが多いでしょうか。
半々か、ご飯が3分の2ほどが一般的なのではないかと思います。
おかしなこうじやの甘酒はぜいたくに米麹100%でつくっていますが、正直、半分くらいでも十分甘くなります。
というより、麹100%のものよりもご飯が入ったほうが甘くなることもあります。
(※解説)
甘酒は米のでんぷん質を麹菌のつくった酵素で分解させて甘みをつくります。
でんぷん質は潤沢に欲しいのですが、酵素のパワーは強すぎてもあまり意味がなくて、必要十分に働く量があればよいです。
米麹は、麹菌が米のでんぷん質をいくらか消化して減っていますので、ご飯の方がでんぷん質が豊富なケースがあります。
なので、必要十分量の米麹(の酵素力価)があれば、後はご飯に置き換えたほうが甘みが強くなるケースがあり得るのです。
ご飯の入った甘酒でも甘みは十分に出てきますが、「おかゆのような風味」も一緒に出てきます。
麹を100%使うと、麹の優しい香りがふわりと香るので、その点は良いところかもしれません。
ご飯が入る場合も、入らない場合も、麹の甘酒はお米のでんぷん質から甘みをつくりますので、
ブドウ糖を中心として、オリゴ糖など、様々な糖が混ざり合って甘みをつくります。
そのため、(同程度の砂糖と比較すると)血糖値の上昇は緩やか、といわれています。
麹の甘酒は麹の品質が直接的に影響を与えますで、例えば味噌向きの麹で甘酒をつくると、甘くなりきらなかったり、味噌っぽい風味が出てきたりするケースもあります。
乾燥麹を使うと溶け切らずに、粒感の強い甘酒になることもあります。
とはいえ、麹甘酒の優しい甘みは、飲んだことがない方にはぜひ一度試していただきたいところです。
まとめ
甘酒には「酒粕甘酒」と「麹甘酒」がありますが、味わいや風味、つくり方にもかなりの違いがあります。
それぞれの主たる原料の品質がダイレクトに出てくる、という点は共通しているところです。
次回からは麹甘酒に向いた麹の特徴や、麹甘酒づくりに欠かせない道具についてなど、話をすすめていきたいと思います。