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結論から。 自家製でみりんをつくるのは違法です。塩入れたらセーフと言う人がいるけどどっちも違法です。 「そもそもみりんって自家製でつくれるの?」と思われるかもしれませんが、意外とつくれます。 用意するのは米麹ともち米と焼酎。 これを混ぜて1年以上熟成させるだけでできちゃいます。思ってたより簡単ですよね。 ただ、みりん(本みりん)はアルコールが含まれた飲料というカテゴリにあるので酒税法で規制されています。 みりんをつくるためには税務署で定められた免許が必要で、酒造会社しか取得することができません。 梅酒をつくる感覚でやったらダメなんですね。 (※ちなみに梅酒もほんとは違法なんですけど、税務署が例外的にOKにしてるだけです) 塩をいれようがいれまいが、違法なのは変わりません。 みりんの免許を持っている酒造会社は塩を規定量いれることで税金がかからなくなる、という制度がありますが(※不可飲処置といいます) これは免許を持つところだけ認められた例外で、何リットルの酒に対して何キロの塩をいれるのかなど、税務署への申告が必要になります。 なにはともあれ、自家製でみりんをつくること自体が酒税法違法になので、"みりんをつくるのは違法"と覚えておいてください。 でも、どうしてもみりんがつくりたい、という人がいるかもしれません。 そういう方は、わざわざ危ない橋を渡るのではなくて、酒税法的にも安全なものをつくりましょう。 酒税法は液体に対してかかる法律です。(※厳密には粉体もある) なので、固形物は対象になりません。 みりんのように透明にすることは出来ませんが、みりんの醪をつくる時に、濃いめにつくってブレンダーやミキサーにかけてしまいましょう。 濃厚なペースト状であれば、それは飲料ではなくなります。 麹が働いてどんどんゆるくなって液体に近づいていきますので、その都度麹を足して固くする必要はありますし、 固形分を増やす分だけより高いアルコール度数の焼酎やホワイトリカーを使う必要は出てきますが、 本みりん風のペーストがつくれますよ。 ただ、みりん同様、1年以上熟成させないと美味しくありませんし、 アルコール度数とのバランスの関係でレシピが難しいので、あんまりオススメはできません。   なのでオススメなのは濃縮甘酒をつくる時に、水の代わりに焼酎をつかう、という方法です。 こちらもかなり濃いめにしてブレンダーにかけて、飲めない濃度や固さにする必要がありますが、即席でみりん風のものをつくることができます。 本みりんの熟成感を出したい、というのであれば、甘酒が出来上がった後に、今度は70度くらいで保温を続ければ、みりんような香ばしい香りになりますよ。 ただしこちらも常温で熟成させたい場合は、アルコールや塩などで雑菌を抑える工夫が必要です。 じゃないとカビが生えてしまいますからね。 いっそ、お味噌のように目張りしたらいいかもしれません。 というわけで、自家製でみりんをつくるのは違法だよ、というのと、どうしてもつくりたいなら固形(ペースト)にしましょう、というお話でした。 おしまい。

おはこんばんちわ。(死語) おかしなこうじやの本間です。 さて、僕の中でだけ終止符が打たれていて、そのまま誰にも話さないまま流れてしまっていた話題をひっそりと供養しようと思います。 そう。塩麹の麹菌って生きてるの?死んでるの?問題です。 結論から申し上げます。 「ほぼ、死んでいる」 です。 まず、「塩麹は麹菌が生きているから1日に一回混ぜないといけないよ〜」 というお話がありますね。 あれは嘘だ。(映画コマンドーより) 麹菌というのは弱い、もろい菌です。 僕が麹菌の師匠だと勝手に崇め讃えている種麹屋さんの研究員の先生もおっしゃっていました。 「麹菌は"もやしっこ"」だと。(もやしだけに) 増殖も遅く、他の雑菌に負けがちで過保護なくらい面倒をみないと思った通りに育ちません。 そんな麹菌ですから、たいていのことですぐ死にます。 吸血鬼ぐらいすぐ死にます。(※分かりにくい小ネタ) 塩麹で言えば、塩水に浸かった時点で、菌糸が破裂して死にます。 正確に言えば、菌糸の部分はだいたい死に、一部はわずかに生存します。 実はほぼ死ぬと思われていたのですが、耐塩性ではない菌にも浸透圧に耐える機構が存在することが近年分かったそうで、わずかに生き残っている可能性は高いだろうというところまで分かってきたそうです。 しかし、その生き残った菌が増殖できるか?というと非常に難しいです。 増殖するとすれば液面に膜を張るように菌糸を伸ばすと思うのですが、僕はその光景はみたことがありません。 液中で増えたように見えたことが種麹屋さんであったそうですが、 空気中から落下し混入した麹菌である可能性もあり、はっきりと目に見えて分かるほどの増殖や活動は厳しいのではないか。と考えられています。 つまり、「ほぼ、死んでいる」という最初の結論に至ります。 生き残ったものも、「活動はかなり難しい」と考えられるので、 塩麹の中で麹菌の働きを期待することはできないと言っていいでしょう。 塩麹をつくると、直後からぷくぷくと気泡が出てきますね。 あれは、菌の働きというよりかは麹の中に閉じ込められていた空気が徐々に吐き出されてぷくぷくなっているのだと考えられています。 「麹菌死んでたら意味ないじゃん!」 と思われた方、安心してください。 日本酒の醪の中でも麹菌はアルコールですぐ死ぬし、甘酒つくる時も60℃になったら死んでます。 でもちゃんと日本酒になるし、甘酒になります。 麹が活かされるのには、麹菌が生きてるかどうかは全く関係ないんです。 それは麹菌がつくった成分や、酵素が失わずに残るから。 麹と酵素の関係性を話し出すと長くなるので割愛しますが、 ともかくも、麹菌が死んだあとも、美味しくなるし、甘くなるし、溶けるし、肉も柔らかくなります。 そう。塩麹で麹菌が生きてるかどうかなんて、実は関係ないのです。 なので、安心して使ってください。 でも、いなくなった麹菌のこと…時々でいいから思い出してください(FFⅩ風) さぁ、まぁ小難しい話過ぎるから余計に反動で全体的にふざけ過ぎましたが、 麹菌たちは儚く犠牲になりながらも、今日も醤油や味噌、酒、みりんなど様々な姿に変わりながら、私達の食卓を豊かにしてくれています。 大事に味わってやってください。麹屋からのちょっとしたなお願いです。 では、また。