おはこんばんちわ。(死語) おかしなこうじやの本間です。 さて、僕の中でだけ終止符が打たれていて、そのまま誰にも話さないまま流れてしまっていた話題をひっそりと供養しようと思います。 そう。塩麹の麹菌って生きてるの?死んでるの?問題です。 結論から申し上げます。 「ほぼ、死んでいる」 です。 まず、「塩麹は麹菌が生きているから1日に一回混ぜないといけないよ〜」 というお話がありますね。 あれは嘘だ。(映画コマンドーより) 麹菌というのは弱い、もろい菌です。 僕が麹菌の師匠だと勝手に崇め讃えている種麹屋さんの研究員の先生もおっしゃっていました。 「麹菌は"もやしっこ"」だと。(もやしだけに) 増殖も遅く、他の雑菌に負けがちで過保護なくらい面倒をみないと思った通りに育ちません。 そんな麹菌ですから、たいていのことですぐ死にます。 吸血鬼ぐらいすぐ死にます。(※分かりにくい小ネタ) 塩麹で言えば、塩水に浸かった時点で、菌糸が破裂して死にます。 正確に言えば、菌糸の部分はだいたい死に、一部はわずかに生存します。 実はほぼ死ぬと思われていたのですが、耐塩性ではない菌にも浸透圧に耐える機構が存在することが近年分かったそうで、わずかに生き残っている可能性は高いだろうというところまで分かってきたそうです。 しかし、その生き残った菌が増殖できるか?というと非常に難しいです。 増殖するとすれば液面に膜を張るように菌糸を伸ばすと思うのですが、僕はその光景はみたことがありません。 液中で増えたように見えたことが種麹屋さんであったそうですが、 空気中から落下し混入した麹菌である可能性もあり、はっきりと目に見えて分かるほどの増殖や活動は厳しいのではないか。と考えられています。 つまり、「ほぼ、死んでいる」という最初の結論に至ります。 生き残ったものも、「活動はかなり難しい」と考えられるので、 塩麹の中で麹菌の働きを期待することはできないと言っていいでしょう。 塩麹をつくると、直後からぷくぷくと気泡が出てきますね。 あれは、菌の働きというよりかは麹の中に閉じ込められていた空気が徐々に吐き出されてぷくぷくなっているのだと考えられています。 「麹菌死んでたら意味ないじゃん!」 と思われた方、安心してください。 日本酒の醪の中でも麹菌はアルコールですぐ死ぬし、甘酒つくる時も60℃になったら死んでます。 でもちゃんと日本酒になるし、甘酒になります。 麹が活かされるのには、麹菌が生きてるかどうかは全く関係ないんです。 それは麹菌がつくった成分や、酵素が失わずに残るから。 麹と酵素の関係性を話し出すと長くなるので割愛しますが、 ともかくも、麹菌が死んだあとも、美味しくなるし、甘くなるし、溶けるし、肉も柔らかくなります。 そう。塩麹で麹菌が生きてるかどうかなんて、実は関係ないのです。 なので、安心して使ってください。 でも、いなくなった麹菌のこと…時々でいいから思い出してください(FFⅩ風) さぁ、まぁ小難しい話過ぎるから余計に反動で全体的にふざけ過ぎましたが、 麹菌たちは儚く犠牲になりながらも、今日も醤油や味噌、酒、みりんなど様々な姿に変わりながら、私達の食卓を豊かにしてくれています。 大事に味わってやってください。麹屋からのちょっとしたなお願いです。 では、また。
「ブログ読んでます」と先日始めて言われてヒョェッとなりましたおかしなこうじや本間です。 さて、おかしなこうじやではお米を預かり、麹にしてお返しして、加工料金を頂戴する、という受託加工を行っております。 農家さんで自分のお米を麹にして販売したいという方や、自分でお味噌をたくさんつくりたい、友達とみんなでシェアするからまとめてつくってほしい、など、開業以来、各方面からたくさんご依頼頂いてきました。 今年もすでにたくさん加工のご依頼を頂いており、新規のご依頼は2月中旬以降の出来上がりとなっています。(1/22時点) さて、そんな麹の加工ですが、この度、電気・ガス料金の値上げなどの影響をうけ、価格変更をさせて頂くことにしました。 詳しくは以下のとおりです。 【〜2023年分】 白米持ち込み時重量 4〜10kg → 10,000円(税込) 11〜29kg → 1kgあたり1000円(税込) 30kg〜 → 1kgあたり800円(税込) 【2024年〜分】 麹出来上がり時重量 4〜29kg → 1kgあたり1000円(税込) 30kg〜 → 1kgあたり800円(税込) 以上のとおりです。 (※分量・価格に記載ミスがあったので1/23 11:00時点で修正しております。ご容赦ください。もし修正前の数字見ちゃった人はご相談ください。なんとかします。) 要するに、持ち込みの時の重さなのか、出来上がりの時の重さなのか、ということです。 麹は出来上がり時に約110%ほどになりますので、その分は実質的に値上げとなります。 ただ、増え方にはかなりバラツキがあり、115%の時もあれば106%みたいな時もあります。 このあたりがかなり難しくて、毎回なるべく量が変動しないようにとか、実はかなり気にしながらつくっていました。 その辺りの僕のストレス軽減のためにもこの形でお世話になれたらなと思っております… なお、販売用など、小分けでの袋詰めをご希望の方は追加で1袋あたり80円(税込)で承っております。 200g〜3kgまでの小分けに対応しており、真空パックで袋詰めをさせて頂いております。 (なお、2024年から真空の圧力を弱くしております。ラベルが剥がれるという声に対応した形です) 以上、何卒よろしくお願いします。
うちの麹菌は菌株としては主にひかみ7号と名前がついている、丹波に縁のある (というか、丹波で大昔に採取され育まれてきたとされる) 麹菌を使っているのですが、 これは大阪の種麹メーカー、樋口松之助商店さん、通称ヒグチモヤシさんから購入させてもらって使っています。 「天然の麹菌じゃないんですね…」 と言われることもあったりなかったりなんですが、 個人的には「そもそも天然麹菌ってなんやねん」と思っています。 菌には自然環境にうじゃうじゃと多種多様な菌が混ざった状態にいる野生の菌と、管理された単一の菌だけ培養した管理環境の菌とがいます。 さて、ここに違いはあるでしょうか。 これ、一般的な感覚では "天然モノのブリと養殖のブリはやっぱり違うよな〜" 的な印象から、天然(野生)と養殖(培養)は違うよね!と思うかも、しれません。 でも、菌って、すごいシンプルな構造で増殖します。 ブリは育つまでに餌や育つ環境、運動させる量とかでやっぱり変わると思います。 でも、卵から孵ったばかりのブリの赤ちゃんって、養殖と天然モノと違いあるんでしょうか? そんなに違いなさそうですよね。 菌はどっちかというと、もっと違いが無い状態なので、野生にいようが管理環境にいようが、 「株ごとの性質の違い」こそあっても 「育った環境の違い」 みたいなものは存在しないです。 なので、「天然の麹菌ってなんやねん」 と、僕としては思っています。 これは「天然酵母」という表現が一般化してしまった弊害だと僕は認識しているんですが、 (僕としては酵母も「天然酵母ってなんやねん」と思っています。) そういったことから、天然の麹菌なんていない、という認識を僕はしています。 むしろ、野生環境の麹菌にはリスクの方が大きいです。 そもそも、麹菌は「カビ」です。 パンの表面に黒カビできてたら食べます?ふつう。 食べませんよね。 緑色でふわふわしてるやつできてたら食べます? 普通の感覚では、食べませんよね。 「天然の麹菌」というのはそういうことです。 麹はカビの仲間で、お腹を壊すカビと、有用な麹カビ、見た目で見分けなんてつきません。 だから、僕は、僕ら麹屋は、キチンと安全な、お腹を壊さない、有用で、しっかりと力のある、種麹屋さんが心血を注いで現代まで育んできた、麹菌を使います。 っていっても、その麹菌も全国では2000種類くらい株が管理されてる、なんて話もあります。 その中で「うちの麹」となる菌株を選んで、自分たちの色として、麹をつくります。 まぁ話がそれましたが、そんなこんなで「天然麹菌なんていない」と僕は考えています。
「塩麹でおにぎりつくったらめっちゃ美味しいんじゃ?」塩麹を使う人がだれもが一度考えたことじゃないでしょうか(そんなことはない)しかし残念ながら、塩麹でおにぎりをつくることはとても難しいです。試しにつくってもらうのが一番分かりやすいのですが、見事なまでに「固まりません」握り固めようとしても、パラパラと、ぼろぼろと、崩れてしまって形になりません。はじめは固まったと思ったのに、気づいたらバラバラになってしまってる。なんてことになります。これは麹がお米のでんぷん質を分解してしまっているから、なのです。そもそも、なぜおにぎりが固まるのかというと、米と米同士の表面がねちゃっと粘っていてくっつくからです。この粘りの正体がでんぷん質です。このでんぷん質に麹が働きかけるので、溶けてサラサラになってしまうんですね。なので、塩麹でおにぎりをつくることはできません。サラサラな混ぜご飯になってしまいますね。これを解決することは一応可能です。麹の働きは高温に熱することで止まりますので、例えば、ご飯を炊く前に炊飯器に一緒に塩麹をいれて炊き上げる、とか、焼きおにぎりにして、焼きながら表面に塗っていく、とか、使う前に塩麹を一旦加熱する、とか。そうやって単純に使うのではなく、熱を加えてからつかう、という風にすればなんとかおにぎりにすることは可能です。他に塩麹の思わぬ副作用としては、「ポテサラに混ぜるとサラサラに溶ける」というのもあります。なので、ポテサラに使いたいときもまず先に加熱する、という風に使うのがいいですね。
2023年7月のイベント出店スケジュールをお知らせします。■7/9 【タマキニイメさん腹ごしらえ会】毎度おなじみ、ヤマネベーカリー さんとの共同出店です。前回に引き続き、スープも担当しますので、今回はトマトをつかった発酵スープにしようかなぁと考えています。丹波わっしょい農園さんの、もうそれだけで美味しいトマトが手に入ったので、あんまり手を加えるのもどうかと思うんですが、トマトと麹だけで水も加えずに一旦甘酒に仕上げて、それをスープにしていきたいと考えています。ミネストローネみたいにしたほうが良い気はするので、具だくさんいれるかどうするか、ちょっと悩ましいところです。最終的には当日のお楽しみということで…いつもの冷やし甘酒も準備予定です。甘酒ピーチメルバ(ミニ)を出すやら出さないやら噂してましたが果たして……どっちにしても甘酒シャーベット出せるように準備だけしとこうかな。■7/15,16【足立醸造さん蔵開きイベント】足立醸造さんの夏の蔵開きイベントに今回も出させていただきます。出店するお店が本当に僕の好きなお店ばかりで、出店しにいってるのか楽しみに行っているのか、どっちなのか分からない楽しいイベントです。冷やし甘酒に加えて、麹スカッシュを出そうかなと考えています。余力があれば黒麹スカッシュもやりたいですが……余力……あるかな…………(遠い目)足立醸造の醤油が10%オフで買える貴重な機会でもあるのでこちらもぜひ。度々言うてますが、国産有機の濃口が本当に好きで個人的にも愛用しています。なお、15日は昼過ぎに僕は先に撤収させて頂きます。16日は15時までいる予定です。■7/15 【オオヤマルシェ】丹波篠山市の丹波大山駅で開かれる学生団体が中心になっているマルシェ、オオヤマルシェに2年連続で出させて頂きます。うっかり、僕がスケジュールミスして足立醸造と被らせてしまったので早抜けしてこちらにも参加させて頂きます。こちらは15時からです。冷やし甘酒と、やはり余力があれば麹スカッシュを出したいと思います。オラに元気をください。■7/23 【サジイチ】佐治の商店街のマルシェです。穏やかな気持ちになれるマルシェで、だいたい出店させてもらってます。丹波各地のパンが買えるのも楽しいところ。ここは飲食免許があるので色々冒険できるイベントなのですが、最近僕がサボり気味であんまり色々やってませんが、冷やし甘酒、麹スカッシュ、黒麹スカッシュは確実に用意したいなと思います。よ、余力が…あれば…なにか…変わり種を……シャーベット出そうか……??ご期待せずにお待ち下さい。■7/28 1000MARKET先月から参加させて頂いてます、清水寺の境内で行われているマルシェです。なんだか厳かなすごい場所で恐縮ですが、参加させて頂いてます。森の精油所 アルヴェアーレさんのご厚意で、一緒に出させてもらっています。ヒノキやクロモジといった植物の精油やアロマウォーターを販売されています。柑橘の精油も扱っておられて、その果汁をうちでも買わせてもらっていて、その甘酒を今回は出そうかなとか考えています。外国人観光客の方も多いので、英語のPOPつくらないと…(防備録)さて、長々となってしまいましたが、どうぞ宜しくお願い致します!
自家製みりん、聞いたことありますか?自宅で自分でみりんをつくるのは楽しいのかもしれません。でも、それって本当はダメなこと…"犯罪"かもしれません。代案など含めて詳しく解説していきます。
麹の効果は塩分があると弱くなる!?でも塩分がなかったら困る注意点もあります。そんな話を書いたので参考にしてみてください。
新玉ねぎと麹で発酵ポタージュをつくりました。 そのときの話をまとめてますので、よければ参考にしてください。
甘酒には「酒粕甘酒」と「麹甘酒」の二種類があります。今回は麹屋が考える美味しい甘酒の作り方としてその2つの違いから説明していきたいと思います。酒粕の甘酒は日本酒もろみの絞り粕である酒粕をお湯に溶いて、砂糖や生姜で味を整えたもの、麹の甘酒はお米と米麹だけでつくる、100%お米由来の甘みのあっさりと飲みやすいもの、という違いがあります。詳しくは記事を御覧ください。
麹の保存。どうしたらいいの?という声があったので、乾燥麹は常温で、生麹は冷凍か冷蔵で。という話を解説しました。